ブックタイトル東北大学 アニュアルレビュー2014
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東北大学 アニュアルレビュー2014
教育の取組紹介ー国際化ーAnnual Review 2014東北大学は、文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援(トップ型)」に採択されました。「教育のグローバル化」を考える「グローバル化」という言葉「グローバル」あるいは「グローバル化」という言葉があります。「地球」をあらわすグローブ(globe)から派生した言葉で、国や民族などの垣根を越えて地球規模で物事がつながっている状態を指すようです。近年、政治・経済・文化のグローバル化について、よく耳にするようになりました。もちろん、教育の分野も例外ではあり得ません。例えば、2012年度のことになりますが、文部科学省はグローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図るべく、「グローバル人材育成推進事業」を立ち上げました。東北大学もこの事業に参加しており、国内大学のグローバル化を先導する大学としての役割が期待されています。この度東北大学は、平成26年度文部科学省スーパーグてきた施策を発展させ、グローバル教育基盤の整備と一層の国際化を加速させます。そしてその基盤の上に、海外有力大学との強い連携のもと「スピントロニクス」「材料科学」「宇宙創成物理学」「環境・地球科学」の世界十指に入る学問領域を拡大するとともに、「データ科学」「生命科学」「災害科学・安全学」といった新学問領域を加えた7つの分野から成る「国際共同大学院プログラム」を「知のフォーラム」等研究力強化のための施策と協力しながら実施していきます。ローバル大学等事業「スーパーグローバル大学創成支援」において、トップ型13大学の一つに採択されました。本学が掲げる「東北大学グローバルイニシアティブ構想」は、グローバル時代を牽引する卓越した教育・研究を行う大学へと飛躍し、世界がその実力や実績を認め、敬意を持って評される大学となることを目指すためのものです。具体的には、これまでの「グローバル30(大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業)」と「グローバル人材育成推進事業(全学推進型)」で行っ写真アジア共同学位開発プロジェクト2012年度サマーコースでグループワークを行う東北大生とアジアの学生たちグローバル化とグローバル・スタンダード東北大学スーパーグローバル大学構想東北大学グローバルビジョン産学連携の推進とイノベーション人材の育成「人が集い、学び、創造する、世界に開かれた知の共同体」=「知の国際共同体」「ワールドクラスへの飛躍」・「東北復興・日本の先導」《東北大学グローバルイニシアティブ構想》「基盤的な教育・研究・ガバナンスの改革と国際化を加速」するとともに世界から人が集い、学び、創造する「国際共同大学院プログラム」を創設しグローバル時代を牽引する卓越した教育・研究を行う大学へと飛躍世界から尊敬される「世界三十傑大学」の一員へイノベーションに繋がる諸科学・技術の創成ガバナンス改革日本の大学の真の国際化ワールドクラス大学としての総合ランキング向上グローバルリーダー育成の教育基盤整備国際共同大学院研究力強化関連施策国際化環境整備世界と対等な教育・研究を実践する大学世界中から学生が憧れ集う大学地球規模課題の解決と持続可能な発展の実現東日本大震災からの復興・新生への貢献と人材育成ところで、グローバル化が話題になると必ず持ち出されるのが「グローバル・スタンダード」です。国や民族などの「垣根を越える」ためには、国や民族ごとに決められていたローカルなやり方や基準を抜きにして、新たな共通基準にしたがって事を進めることが必要です。この基準がグローバル・スタンダードです。グローバル化は必然的に、ローカル・スタンダードの変更をもたらすことになるのです。例えば、かつて教育は国内問題の一つでしたが、今ではOECD(経済協力開発機構)による国際学習到達度調査「グローバル」あるいは「グローバル化」という言葉があります。「地球」をあらわすグローブ(globe)から派生した言葉で、国や民族などの垣根を越えて地球規模で(PISA)のランキングや世界大学ランキングといったグローバル・スタンダードに基づく教育論議ローカルを通じてグローバルへまた、ローカルな教育とグローバルな教育を常に対立的に捉える考え方も再考が必要です。グローバルな視点は、ローカルな視点を通過しない限り形成されないと考えられるからです。教育学研究科では現在、「アジア共同学位開発プロジェクト」に取り組んでいます。このプロジェクトでは、東アジアの有力大学と連携し、国際的教育指導者の育成をめざした共同学位プログラムの開発を行っています。本プロジェクトも教育のグローバル化の流れに位置づくものではありますが、東アジアというローカルな地域に焦点を定めている点に特徴があります。国籍の異なる学生たちがともに東アジアの教育事情や教育問題について学び、議論を重ねます。ローカルな課題の多様性と共通性を深く理解することで初めて、非東アジア地域も含めた、よりグローバが当たり前となりました。これも、教育のグローバル化の一例と言ってよいでしょう。もちろん、TPPなど経済の問題を考えればすぐにわかるように、グローバル・スタンダードの確立は必ずしも良い面ばかりではありません。これは教育の場合でも同じです。教育は「教育的価値の実現」をめざした目標志向的活動です。したがって、教育のグローバル・スタンダードを確立するということは、「実現すべき教育的価値とは何か」という問いの答えを地球規模で統一することを意味します。社会の産業構造が異なれば必要とされる教育の内容も異なるように、教育は本質的にローカルな営みです。ローカル・スタンダードの廃止が、教育の質の低下につながるような事態は何としても避けねばなりません。ルな視点を持ちうるのではないでしょうか。東アジアから世界の教育に思いを馳せることができるような人材の育成を目指していきたいと考えています。工藤与志文(くどうよしふみ)1962年生まれ現職/東北大学大学院教育学研究科教授専門/教育心理学関連ホームページ/http://www.sed.tohoku.ac.jp/~ajp/910