ブックタイトル東北大学 アニュアルレビュー2014
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東北大学 アニュアルレビュー2014
研究活動の動きAnnual Review 2014世界レベルの研究で豊かな未来を創造最先端の研究で、新しい社会を切り開きます2013.06.13ウイルス由来のペプチドでナノロボットを作成東北大学病院の鈴木康弘講師らの研究グループは、「量子ドット」と呼ばれる蛍光ナノ粒子上にウイルス由来のペプチドを8個、固層化することで、ナノ粒子にナノロボットとしての性質を付与できることを発見。局所的な刺激を加えることで、個々の粒子が細胞膜上で方向性を持って移動し、その後に細胞膜上から細胞内に取り込まれて侵入する性質を示すことを明らかにしました。この成果は、ナノ粒子を用いた医療技術の発展に貢献するものと言えます。2013.04.18地球の自転に同期して放射される電波の発見─地球は宇宙にむかってハミングする電波惑星─2013.06.27細胞のための極薄カーペットを開発─細胞の高密度な組織化を実現し再生医療に貢献─本学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センターの研究グループ(森岡昭名誉教授、栗田怜大学院生、笠羽康正教授、三澤浩昭准教授)は、日本が打ち上げたジオテイル(Geotail)衛星の長期データの解析から、連続した電波が地球の極地方から宇宙へ放射され、その電波は地球の自転とともに旋律(周波数)が変化する特徴を持つことを発見しました。これにより、惑星である地球は、電波灯台のように光り続ける電波星であると言うことができます。本学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の藤枝俊宣助手、カデムホッセイニ主任研究者らの研究グループは、ハーバード大学などと共同で、細胞が組織化する際の足場となる「基底膜」を、世界で初めて人工的に作成。プラスチック素材と極細炭素繊維(カーボンナノチューブ)を用いて作成したナノ薄膜(ナノカーペット)は、血管や消化管などの生体組織の再生や移植への応用が期待されます。この成果は、アメリカ化学会誌NanoLettersオンライン版に掲載されました。2013.05.10糸状菌由来の免疫回避機能性素材を用いた新規医療用ナノ粒子の開発2013.07.01ナノパターンを短時間かつ安価に創製─レーザ照射による大面積転写技術を確立─本学未来科学技術共同研究センター(NICHe)・阿部敬悦教授、原子分子材料科学高等研究機構・阿尻雅文教授、医学系研究科・川上和義教授、加齢医学研究所・福本学教授らの共同研究により、新規医療用ナノ粒子の開発に成功しました。ナノ粒子の表面を免疫系に見つからない(ステルス)物質でコーティング。白血球等に感知されないようにしたことで、体内に投与したナノ粒子は白血球等につかまらず、効率よく臓器・器官に届けることが可能になりました。明昌機工株式会社(兵庫県)、(財)素形材センターの西山信行特別研究員、本学金属材料研究所の加藤秀実准教授らの研究グループは、東北経済産業局からの委託を受けて、レーザ照射による急速・局所加熱方法を採用した熱インプリント(転写)装置を新たに開発。短時間で安価に、大面積ナノパターンの創製技術を確立しました。この成果は、IT機器、医療、触媒などの広範な先端工業分野におけるナノパターンの実用化への貢献が期待されます。2013.06.04緑内障の神経保護治療への新しいアプローチ2013.07.10高品質リチウムイオン電池開発に新指針─薄膜作製中のリチウム欠損メカニズムの解明─本学医学系研究科の中澤徹教授、丸山和一講師、檜森紀子助教らは、酸化ストレス防御機構において中心的な役割を担う転写因子であるNrf2(NF-E2 related factor2)の網膜神経節細胞死に対する関与、Nrf2活性剤の神経保護作用を解明しました。Nrf2が欠損したマウスの緑内障動物モデルを作成し、Nrf2の関与状況を解析することで明らかにしました。今後、Nrf2は緑内障における新規治療ターゲット分子となる可能性が期待できます。この研究結果は、5月30日にJournal of Neurochemistry(電子版)に掲載されました。本学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)のダニエル・パックウッド助教、白木将講師、一杉太郎准教授の研究グループは、マンガン酸リチウム薄膜を合成する際に、薄膜中のリチウムが欠損するメカニズムを数学的に解明しました。これは、リチウム原子が酸素分子に強く散乱されて欠損することを、明らかにしたもの。この成果は、高品質な薄膜を合成し、リチウムイオン電池や機能性酸化物を用いた高性能デバイスの開発への道を拓くものです。2013.世界初、低エラー率と高速書き込みサイクルを実現する2013.高脂血症治療薬スタチンの新作用を発見06.10大容量不揮発性メモリの動作実証に成功07.25本学省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンターの大野英男教授(電気通信研究所)と遠藤哲郎教授(工学研究科)の研究グループは、スピントロニクス技術であるスピン注入磁化反転型磁気トンネル接合(MTJ)デバイスとシリコン技術を組み合わせ、ロジック混載用の1Mビット不揮発性メモリを開発しました。本メモリは、標準シリコンCMOS回路上に独自のMTJ試作技術を用いて微細スピントロニクスデバイス部分を作製したもので、その原理動作実証に成功しました。ロジック混載用不揮発性メモリチップ高脂血症治療薬であるスタチンは、コレステロールの低下作用のほか心血管病の予防効果も見出され、「多面的作用」が注目されます。本学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明教授らの研究グループは、その分子機序としてSmall GTP-Binding ProteinDissociationStimulato(r SmgGDS,スマッグジーディーエス)という分子が中心的役割を担うことを、世界に先駆けて発見しました。この研究成果は、SmgGDSを増加させ、心血管病を改善する薬剤の開発や、心血管病を予測するマーカーの開発への可能性を拡げます。1314