ブックタイトル東北大学環境報告書2014
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東北大学環境報告書2014
環境●トピックス環境研究に取り組む学生の声環境科学研究科●博士課程前期2年〔資源循環プロセス学講座〕環境●トピックス■現在どんな研究をしていますか?水からセシウム(Cs)を除去し、濃縮する研究を行っています。福島第一原発事故により放出したCsの除染は、喫緊な課題となっています。また、Csは水に溶けやすいため、その水処理には一般的に粘土鉱物による吸着法を用いています。しかし、大量のスラッジが発生してしまう問題があります。そのため、スラッジ量を減らす新たな除去方法として、イオン会合体による濃縮法の利用を考えました。これは、水相にイオン会合体である適当な2つの有機物質を入れることで、水相から新たな相を形成し、その相へ目的の物質を濃縮する方法です。この手法によるCsの濃縮は報告されておらず、新規の濃縮技術で、従来の吸着法よりもスラッジ量が10分の1まで減らすことが期待出来ます。■将来の夢や目標を教えてください。将来の夢は、「環境に優しい、新しいものを開発する」ことです。環境問題は、「技術」の発達によって発生したものです。そのため、環境問題を解決するためには、「技術」によって解決することが筋であると考えています。私は、C sの研究において、放射線に対する世界の情勢や人々の見解の変化を考慮しながら研究を行うことが大切であると感じました。従って、環境に優しい技術を開発するためには、問題に対してしっかり向き合い続けることが重要であると思います。環境科学研究科●博士課程後期3年〔自然共生システム学講座〕■現在どんな研究をしていますか?研究テーマは「カーボンナノチューブを用いた超軽量高強度繊維の創製」です。軽くて強い材料を開発し自動車や航空機などの輸送機器に応用することで、軽量化・燃費向上を目指しています。また自分の専門分野にとらわれることなく、広い視野で環境問題を考えるために本研究科の「環境リーダー育成プログラム」に参加しています。このプログラムには、異なる専門分野を持つ様々な国の学生と教員が所属しており、研修やシンポジウムを通じて発表や意見交換をしています。ところ変われば品変わるように、世界には様々な環境問題があることを肌で感じます。■将来の夢や目標を教えてください。私は環境問題を解決したいです。現在の研究によって輸送機器のエネルギー利用効率を高め、エネルギー資源を有効に使用することができます。しかし環境問題はエネルギー資源の枯渇だけでなく水不足、ゴミ問題、再生可能エネルギーの普及、森林破壊、生物多様性の破壊、希少金属の枯渇などその種類は実に多様で、一つのアプローチで解決することはできません。私は少しでも多くの業界とかかわることで常に広い視野で環境問題を見つめることを忘れずに、自分が持つ技術と知識の限りを尽くして一つでも多くの解決策を見出していきます。40