ブックタイトル東北大学環境報告書2014

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概要

東北大学環境報告書2014

各論3環境関連研究の推進大津波が干潟の底生動物群集に及ぼした影響生命科学研究科生態システム生命科学専攻助教鈴木孝男東日本の太平洋沿岸域に立地する干潟群は、東日本大震災で未曾有の影響を受けました。大津波の直撃を受けた干潟は、塩性湿地やヨシ原を含めて激しく撹乱されました。津波は底生動物のみならず、その生息基盤である干潟の砂や泥をも巻き上げ、遠方へ運び去りました。しかし、津波の影響は一様ではなく、干潟ごとにさまざまであり、大きく3段階に分けられました。南三陸沿岸部など外洋に向かって広がっている湾内では津波の威力は強く、堤防は寸断され地盤沈下の影響も加わり大撹乱を受けました。一方、仙台湾に面した潟湖干潟の多くでは、外洋と潟湖を隔てていた砂洲や海岸堤防が破壊され、かなりの程度撹乱されましたが、底土が全て持ち去られることはなく、破壊された砂洲は自然の力で復元しました(中撹乱:井土浦など、図1)。また、松島湾内の奥部に井土浦の震災前後の航空写真各論3環境関連研究の推進井土東谷地井土浦名取川1984年撮影国土地理院2011年3月13日撮影国土地理院2013年8月26日撮影環境省東北環境事務局図1.井土浦の震災前後の航空写真。井土浦では津波で破壊された砂洲が3ヵ月程でつながりはじめた。井土浦の干潟面積は減少したが、井土東谷地のヨシ原の多くが干潟になった。この一帯を干潟生態系として保全していくことが望まれる。48