ブックタイトル東北大学環境報告書2014

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概要

東北大学環境報告書2014

各論3環境関連研究の推進持続可能な成長とエネルギー政策環境科学研究科環境・エネルギー経済研究分野准教授馬奈木俊介2011年以降、エネルギー問題、地球環境問題は大きな転換を経て今後の経済の方向性を問い直しています。2011年3月11日に発生した東日本大震災及び津波と原子力事故は、それまでのエネルギー環境政策の多くの前提を根底からくつ返しました。原子力のリスクの大きさと廃炉コストの大きさは、それまで暗黙の前提となりつつあった原子力の拡大による成長と地球温暖化対策のバランスのとれた達成の現実性に深刻な疑念を投げかけています。一方非在来ガス・シェールガスの急速な供給拡大は、世界に新たな燃料バランスとシナリオを提示することになりました。また近年では、電力改革、原子力問題、石油価格高騰を代表として、エネルギー政策や経済の大きな変動、または市場メカニズムを利用した政策の導入が進んでいます。環境科学研究科では、こういった世界的な大きな潮流としてのエネルギーが経済活動に与える影響、どのようなエネルギーの選択肢をとっていくべきか、そして国内レベルでの電力改革の方向性を、エネルギー環境経済学の観点から研究しています。このような環境の激変に見舞われている今こそ、エネルギー・地球環境問題に対する処方箋を長期的な持続可能性という軸から考えてみる絶好の機会と言えます。その際に念頭に置くべきいくつかの要素として、技術の役割、市場、持続可能な政策的支援に注目を当てて、環境科学研究科では政策分析、政策立案へのアドバイスを国内外にて取り組んでいます。また個別には、エネルギー・環境技術の進歩を促す政策について分析しています。経済成長は、どの程度の労働を増やし、資本を蓄積し、生産性を上げることができるかによって決まります。生産性が上がることで、より低費用で生産ができたり、労働の余暇を増やせたり、利益を上げたりすることができます。また、企業の収益性を支え各論3環境関連研究の推進ているのは生産効率の良さであり、その生産効率の良し悪しを判断するのが生産性です。生産性の指標は、イノベーションや技術進歩を捉えるのに使われる標準的な指標となっています。環境科学研究科では、どのような政策や企業の取り組みがこの生産性を上げることが出来るか研究、提案しています。図1イノベーション誘因:技術政策に関連して図2災害インパクト50