ブックタイトル第3回 国連防災世界会議を終えて ~東北大学の取り組み~

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第3回 国連防災世界会議を終えて ~東北大学の取り組み~

第3回国連防災世界会議を終えて~東北大学の取り組み~第2章東北大学の参画/各催事の報告〈イベント〉DAY-22015.03.15 [ Sun ]東北大学復興シンポジウム東北大学からのメッセージ-震災の教訓を未来に紡ぐ-張替秀郎(東北大学地域医療再構築プロジェクト、東北大学総合地域医療研修センター長)山本雅之(東北大学地域医療再構築プロジェクト、東北大学東北メディカル・メガバンク機構長)石井慶造(東北大学放射性物質汚染対策プロジェクト、東北大学生活環境早期復旧技術研究センター長)福本学(東北大学放射性物質汚染対策プロジェクト、東北大学加齢医学研究所教授)所の今村文彦所長、同研究所の日野亮太教授、東北大学病院の石井正教授からそれぞれ講演が行われました。また、シンポジウムの最後には、マーティ・キーナート総長顧問をファシリテーターに、東北大生を中心として仙台で活躍中のニホンジンプロジェクトをゲストとしてお迎えし、トークセッション「明日に向かって」が行われました。当日は、約1,500名の方にご来場いただき、東北大学の震災復興の取り組みへの高い関心がうかがえました。【ID:286】大震災と減災対策,産業と暮らし,人と医療キーワード:大学,防災,減災????????????????????????■日時:3月15日(日)10:00‐17:15(開場9:30)■会場:東京エレクトロンホール宮城大ホール(定員:1500人)〈午後の部〉14:00‐17:15震災の教訓を未来へ紡ぐ午後の部開会のあいさつ●里見進(東北大学総長)<講演>未来へ紡ぐ私からのメッセージ「東日本大震災での教訓を踏まえた津波工学の新たな役割」●今村文彦(東北大学災害科学国際研究所長)「大地震の発生予測はできるのか?-2011年東北地方太平洋沖地震が教えてくれたこと-」●日野亮太(東北大学災害科学国際研究所教授)「未来の地域医療の舞台を作りつつ、未来を担う地域医療人材を育成」●石井正(東北大学病院総合地域医療教育支援部長〈元石巻赤十字病院医療社会事業部長〉)潘基文国連事務総長講演内容■問合せ:Tel 022-217-5009 E-mail skk-som@grp.tohoku.ac.jpここのような活気にあふれた集いでお話しする機会を頂けたことを、心から感謝いたします。少しだけ日本語でご挨拶させていただきます。皆様にお会いできて光栄です。ありがとうございます。■主催:東北大学イベント概要潘事務総長による特別講演第3回国連防災世界会議は、大震災を経験した唯一ともいえる総合大学として、東北大学は、私が数年前に立ち上げたイニシアティブ「国連アカデミック・インパ3つ目の贈り物は工芸品ではなく、しかも形ある物でさえありませんでした。それは希望でした。私は高校生に鼓舞されたのです。まだ若い生徒たちは、恐ろしい悲劇を経験していました。中には、両親や友人、家を失った生徒もいました。そして全員が、安心感さえ失っていたのです。私は、世界が福島の人々と連帯していることを示そうと思いました。しかし生徒たちは、自分たちが世界と連帯していることを示すことで、私を驚かせたのです。私は生徒たちが、私や国連に援助を求めるものとばかり思っていました。しかし、生徒たちは支援や援助物資を求めるどころか、世界の人々がこのような悲劇に遭わないようにするために、国連とどのように協力できるのかと質問してきたのです。私は本当に驚くと同時に、鼓舞されました。そして、心から感動しました。東北の人々は真のグローバル市民です。これこそまさに、日本の人々の誠の精神であり、尊厳であるといえます。これまでの経験と知見を国際社会と共有し、国内外での防災、減災について貢献クト」の貴重なメンバーです。する重要な機会となりました。東北大学は、震災直後の2011年4月に全学組織大学の施設は、4年前の東日本大震災で大きな被害を受けました。私は被災者の方々、特にお亡くなりになった学生3人の家族や友人、指導教官の方々に心からお悔やみを申し上げます。「東北大学災害復興新生研究機構」を設置し、被災からの復興・地域再生を先導する研究・教育・社会貢献等に全力を挙げて取り組んできました。本シンポジウムでは、東北の復興だけでなく、日本全体が元気になり、生まれ変わってほしいという思いを込めて、本学から未来に向けたメッセージを発信しました。皆様はこの悲劇を受け、100件を超える復興プロジェクトを立ち上げました。私は特に、災害統計グローバルセンター創設に関する東北大学の多数の国連機関との協力に感謝しています。私はこの価値あるセンターが、新たなグローバル災害リスク削減枠組みに関する進捗状況の監視に役立つものと期待しています。また、将来の持続可能な開発目標の実現に向けた経過を追うこともできるでしょう。〈午前の部〉〈トークセッション〉「明日に向かって」●ファシリテーター:マーティ・キーナート(総長顧問)●ゲスト:ニホンジンプロジェクト10:00‐12:50東北の復興から日本の新生を目指して特別講演●潘基文(国連事務総長)開会のあいさつ●原信義(東北大学理事〈震災復興推進担当〉)開催レポート私は、東北地方の目覚ましい復興努力をすべて歓迎します。国連は皆様の味方です。日本の力強い復興を応援しています。国際社会も国連も応援しています。頑張ってください。そして、日本政府は国際舞台でリーダーの役割を果たしています。日本が国連防災世界会議を受け入れるのは、これが3回目になります。1994年の横浜を皮切りに、10年後には神戸、そしてさらに10年後に仙台で会議が開催されています。過去30年間に、最大級の防災国際会議を3度も受け入れた国が他にあるでしょうか。私は日本の人々に深く感謝しています。〈パネルディスカッション〉「テーマ1大震災と減災対策」●コーディネーター:今村文彦(東北大学災害科学国際研究推進プロジェクト、災害科学国際研究所長)●パネリスト:中沢正隆(東北大学情報通信再構築プロジェクト、電気通信研究機構長)奥村誠(東北大学災害科学国際研究所副所長)海野徳仁(リーディング大学院〈グローバル安全学〉教授)アンドリュー・ゴードン(ハーバード大学〈震災アーカイブ〉教授)橋本孝之(日本アイ・ビー・エム(株)副会長/経団連・防災に関する委員会委員長)■参加者数:1,500名????????????????????????私は4年前、この地で、家を失った多くの被災者を収容する避難所を訪問しました。私は拙い日本語で、多くの被災者の方々とお話しました。私はいつも、こう言い福島南高校の生徒と同様、日本はその悲劇的経験を世界への支援に活かしています。私は昨日、災害リスク削減のために40億ドルの拠出と、約4万人の訓練という極めて寛大な支援を表明した安倍晋三総理に、改めて拍手を送ります。これは極めて寛大な支援です。日本は困難にもかかわらず、強力なグローバル・リーダーシップを発揮しているのです。私は、安倍総理のグローバルなビジョンとリーダーシップに、心から拍手を送ります。ました。「国連は日本を応援しています。頑張ってください。」被災者の方々はすべて、私が日本語で応援の言葉をかけることを喜んでくれました。私はこの4年間、しなやかな復元力をそなえ、勇敢で、復興を決意した多くの人々とお会いした時の感動的な経験を思い起こしています。私は、津波で浸水し、大きな被害を受けた美しい街仙台が、完全に復興を果たし皆様、私は訪問先で、瓦礫が新たな構造物の建設に用いられている様子を目にしました。私はこのことから、私たちが災害の痛ましい教訓をすべて、よりよい未来に向けた新たな政策へと変えてゆかねばならないことを改めて学びました。「テーマ2産業と暮らし」●コーディネーター:中井裕(東北大学農学研究科教授)●パネリスト:田路和幸(東北大学環境エネルギープロジェクト、東北大学環境科学研究科教授)木島明博(東北大学東北マリンサイエンスプロジェクト、東北大学農学研究科教授)藤本雅彦(東北大学地域産業復興支援プロジェクト、東北大学経済学研究科地域イノベーション研究センター長)中村崇(東北大学復興産学連携推進プロジェクト、東北大学多元物質科学研究所教授)た姿を目にし、喜びを感じるとともに、勇気づけられています。皆様の力強い支援と強靭性を称賛します。原理事(震災復興推進担当)による開会挨拶皆様、私は震災後、福島南高校を訪問しました。そして、3つの意味深い贈り物を頂きました。ここで私がお話している間も、南太平洋の小さな島国バヌアツの人々は、サイクロン・パムの直撃で犠牲となった家族を弔っています。私は昨日、自国の状況を知らないまま防災会議に出席していたバヌアツ大統領にお会いしました。バヌアツを襲ったこのサイクロンもまた、国際社会が自然災害に対して必要な準備態勢を整えることに対する認識と、その緊急性を高めました。本シンポジウムでは、冒頭に潘基文国連事務総長から特別講演をいただき、「国連アカデミック・インパクト」のメンバーである東北大学の100を超える復興プロジェクトの取り組みについて、特に「災害統計グローバルセンター」設置については、新たなグローバル災害のリスク削減に向けた取り組みとして、大変期待しているとのお言葉を頂戴しました。その後、大学全体で取り組んでいる8つの重点プロジェクトのプロジェクトリーダーを中心として、学外からハーバード大学のアンドリュー・ゴードン教授、日本IBMの橋本副会長をお迎えし、「大震災と減災対策」、「産業と暮らし」、「人と医療」という3つのテーマでパネルディスカッションが行われました。午後の部では、「未来へ紡ぐ私からのメッセージ」と題して、災害科学国際研究1つ目は「こけし」でした。皆様もご存じのとおり、これは東北地方の温泉地に伝わる伝統的な人形です。人々は癒しを求め、温泉に入ります。ですから、私はこけしが癒しを象徴するものと考えました。私たちが自然災害を防ぐことはできません。それは神の意志だからです。しかし、私たちは少なくとも、災害リスクを最小限に抑えるための備えを整えること「テーマ3人と医療」●コーディネーター:五十嵐和彦(東北大学医学系研究科教授)●パネリスト:2番目の贈り物は「赤べこ」。赤い牛の人形でした。私は、この地域の赤牛が昔から、特に働き者の家畜として知られていることを承知しています。ですから、私はこの贈り物を、レジリエンスと勤勉の象徴として受け取りました。ができます。私たちは災害リスクを削減できるのです。それこそが、仙台会議の主目的です。28 29