ブックタイトル2016読書の年輪 -研究と講義への案内-

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概要

2016読書の年輪 -研究と講義への案内-

吉野博YOSHINO, Hiroshiドネラ・H・メドウズ/デニス・L・メドウズ/ヨルゲン・ランダース著成長の限界人類の選択枝廣淳子訳、ダイヤモンド社、2005年本書は、1972年に出版された「成長の限界」、1991年の「限界を超えて生きるための選択」に続く三冊目の著作である。最初の著作では、全世界を対象とした計算に基づいて、工業化、人口増加がそのまま続けば、栄養不足、天然資源の枯渇、環境の悪化などで100年以内に成長の限界点に到達することを示し、地球環境問題に大きな議論を巻き起こした。二冊目では、前著の結論を現実の世界に照らして検証したうえで、より洗練されたコンピューター・モデル「ワールド3」を駆使して将来を予測し、人類が直面する限界を乗り越えることができるという展望を示している。三冊目の本書では、目次の構成は二冊目と同様であるが、生活の豊かさの指標、エコロジカルフットプリントの計算結果を加え、筆者らによれば、「より理解しやすい形で、われわれが1972年にだした主張を再度強調する」ことを目指したものである。結論の一つは、持続可能な政策の実施が遅れれば、「最終的に持続可能な形で享受できる豊かさの水準は下がっていく」ということである。この課題に関して30年の間、研究を継続していることに対して頭が下がる思いである。クリストファー・ロイド著137億年の物語―宇宙が始まってから今日までの全歴史野中香方子訳、文藝春秋社、2012年題名からして、どのようなことが述べられているのかと興味がそそられる本である。先輩の教授から、大変に面白い本だと薦められて読んだ。確かに様々な観点から楽しめる本である。その理由は、1)題名どおり137億年と気の遠くなる歴史が一冊に収められている、2)多くの魅力的なイラストや写真が掲載され、絵本のような体裁をとっている、3)137億年を24時間に置き換えて歴史の時間の長さが実感できるように編集されている、4)42の章に分けられ、それぞれのページが色分けされ、西暦と24時間の時刻が各ページに示されている、などなどである。人(ホモサピエンス)の出現は、これまでの長い地球の歴史のごくごく最近(24時間の中の3秒前)であることに驚かされる。また、文明が形成された以降は、いわば殺戮の歴史であったことも認識できる。オリエント文明、ギリシャ都市国家、ローマ帝国などが栄える過程において、また、ヨーロッパ人が新大陸を征服し、白人が植民地を獲得する際に、更に近年では世界大戦において膨大な数の人々が殺戮されている。地球の歴史の中で「現在」を見ることは、自分自身を考える上でも重要である。17