ブックタイトル2016読書の年輪 -研究と講義への案内-

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概要

2016読書の年輪 -研究と講義への案内-

葛西奈津子著植物が地球をかえた!植物まるかじり叢書1、(株)化学同人、2007年わたし達をはじめとする動物は、“植物”によって生かされている。しかし、わたし達は、生き物としての植物をどれだけ理解しているだろうか?「植物まるかじり叢書」は、生きものとしての植物の営みを最新の知見を交えて紹介するとともに、こうした植物を研究している人たちがどんなことを考えているのかを合わせて紹介しようと日本の植物生理学会が中心となって企画した全5巻のシリーズものである。高校生、大学1・2年生、一般向けとしながらも学問的な内容は植物科学の第一線の息吹が感じられる本を目指し書かれている。その第一巻が本書で、植物の大切な働きの一つ、光合成を中心にまとめたものである。植物の行っている光合成はわたし達の食糧だけでなく、地球環境の形成や維持にも大きく関わっている。サイエンスライターである葛西奈津子氏が、8人の光合成に関わる研究者にインタビューして、それぞれの内容を章ごとにまとめている。著者が内容を分かりやすく紹介しているとともに、それぞれの研究者の研究に対する考え方や取り組む姿勢が丁寧に紹介されていてそれだけでも興味深い本となっている。光合成の営みやその研究の面白さを知るのに格好の本である。丸山茂徳/磯崎行雄著生命と地球の歴史岩波新書、1998年地球の歴史は46億年、生命の歴史は40億年に及ぶ。この間、生命はいかなる進化を遂げ、地球はどのように変動し、それら進化と変動の要因はどう説明されるだろうか?本書は、このような疑問に真っ直ぐに答えてくれる。「生命の進化史」を著者ら独自の「固体地球の進歩史」という大きな視点からとらえ解説している。主な内容は、地球と生命の歴史の中の七大事件、地球の変動原理、生命の誕生から原核生物までの初期生命の歴史、酸素発生型光合成の開始から5.5億年前の硬骨格生物出現までの生命発展の歴史、生物の大量絶滅と新種の出現が繰り返された5.5億年前から今日までの歴史、大気・海洋・地殻の歴史、地球のテクトニクス、マントルと核の歴史、そして生命と地球の共進化についてである。本書を読むと、地球の表層環境とそこに生きる生命体がその歴史を通して固体地球あるいは宇宙の変動にいかに大きく左右されてきたかがひしひしと伝わってくる。東日本大震災を経験した直後故に、そのインパクトは強烈である。わたし達の自然に対する向き合い方を深く考えさせてくれる内容で、皆に読んでもらいたい本である。43