ブックタイトル2016読書の年輪 -研究と講義への案内-

ページ
54/64

このページは 2016読書の年輪 -研究と講義への案内- の電子ブックに掲載されている54ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

2016読書の年輪 -研究と講義への案内-

Institute of Liberal Arts and Sciences,Tohoku University秋葉征夫AKIBA, Yukio退職学ぶ本・議論する本・楽しむ本・鼻歌まじりの本…出会った本秋葉征夫AKIBA, Yukio総長特命教授(2008年度~2010年度。2011年3月末退職)、東北大学名誉教授(大学院農学研究科)、農学博士専門分野:動物栄養生化学、家禽学担※2010年度当科基礎ゼミ:「食の比較生化学-ヒトと動物-」/「ペット栄養から観るヒトの食と栄養代謝」目基幹科目:「生命と自然:鳥とニワトリの生物科学」総合科目:「食から探る生物・生命・暮らしの科学」私が本を読み始めたと言える(意識している)のは高校時代だと思う。それは他の人たちに比べて断然遅く、自慢にはならない。高校時代は歴史小説を若干読んだ。吉川英治の文芸書『私本太平記』だったと思う。足利尊氏の波乱に満ちた生涯を活写したもので、この本を手にして以来、本を読むことの抵抗感が薄れたように記憶している。その後、東北大学に入り、クラブ(軟式テニス同好会)に入って、先輩からいろいろの書物を紹介され、そしてそれらの本の感想についての議論や好きな作品の文章の書き写しなどを経験し、やっと半人前の「本読む学生」になったと思っている。学生時代は背伸びしながらも、詩集や哲学系の本にも手を伸ばし、結果的に人文系の知識も少しは得ることができた。研究生活(本学農学部)に入ってからは、農学や栄養学の専門書や専門関連の書籍を読むことで手一杯になってしまった時期が多い。さらに昨今は、時折に読む一般書は心休まる小説や随筆が多くなってしまった。そんなわけで、大学の教師としての読書量はきわめて少ないものと自覚(反省)せざるを得ない。それでも、好きな本や、勉強させられた本、印象深かった本は頭に浮かぶ。教養教育院の教員として全学教育の一部を担当してから2年が経過する。担当講義は、私自身の40年間の研究領域であった食・栄養・生化学・動物・ニワトリを中心に組み立てた。講義の狙いは、私たちにとって身近でしかも大切な「食と栄養」そして「鳥類やペットなどの身の回りにいる動物」をよく観察し、ヒトと生物たちの「生命の営みとその不思議さ」を考えることを通して、身近な事象と視点から「科学する」することの楽しさを身に着けてもらうこと、と私は考えている。ここに紹介する書籍は、私が読んで自身の生活に役立った本、楽しかった(良かったと感じた)本である。いくつかは私の専門分野と講義内容に少し関連し、いくつかは関係なく感銘した本、そして気持ちが落ち着く本、楽しかった本、である。何といっても、本を好きになること、そのために好きな本を見つけること、好きな本に出会うための少しの努力をすること、が大事のように思う。学生時代は、ジャンルにこだわらず何でも読める、何でもチャレンジできる、しかし過剰に気負うことなしに過ごせる、長くはない貴重な期間と捉えたい。(2011年2月)54