ブックタイトルまなびの杜 2016年夏号 No.76
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まなびの杜 2016年夏号 No.76
Line-up of Leading-edge Research日本の沖合で周期的なスロースリップを発見012016/01/29―大地震の発生予測に新たな手がかり―本学大学院理学研究科・本学災害科学国際研究所の内田直希助教、日野亮太教授、国立研究開発法人海洋研究開発機構の飯沼卓史研究員らのグループは、カリフォルニア大学バークレー校とともに、北海道~関東地方の沖合のプレート境界断層の広い範囲で、周期的な「スロースリップ」が発生していることを、地震・地殻変動データから発見しました。このスロースリップは、地域によって1~6年の発生間隔を持ち、同期してM5以上の大きな地震活動が活発化しています。それを地震・地殻変動観測で検知することで、大地震発生時期を予測できる可能性があります。この研究成果は、2016年1月29日の米国の科学雑誌Science電子版に掲載されました。グラフェンの超伝導化に成功022016/02/04―『質量ゼロ』の電子が『抵抗ゼロ』で流れる―本学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、東京大学大学院理学系研究科の一ノ倉聖大学院生、長谷川修司教授らの研究グループは、グラフェンを超伝導にすることに成功しました。グラフェンは、内部に「質量ゼロ」の高速電子を持つことから、高速電子デバイス材料として大きな注目を集めています。今回の超伝導化の成功によって、その電子を「抵抗ゼロ」で流すことを可能にしました。この成果によって今後、超高速超伝導ナノデバイスへの応用開発がさらに進むものと考えられ、その進展ぶりが期待されています。この研究成果は、2016年1月29日(米国東部時間)に、米化学会誌ACS Nanoオンライン速報版に掲載されました。スキルミオン生成に表れるトポロジーの融合052016/02/23―低消費電力エレクトロニクスに新原理―理化学研究所創発物性科学研究センターの強相関物性研究グループ、強相関界面研究グループ、強相関理論研究グループ、本学金属材料研究所の塚﨑敦教授らの共同研究グループは、トポロジカル絶縁体(内部は絶縁体でありながら、表面は電気を通す物質)である(Bi1-ySby)2Te3(Bi:ビスマス、Sb:アンチモン、Te:テルル)薄膜上に、磁性元素Cr(クロム)を添加したトポロジカル絶縁体Crx(Bi1-ySby)2-xTe3を積層させた構造の作製によって、微小な渦状の磁気構造である磁気スキルミオンを生成することに成功。スキルミオン生成の新たな設計指針を見出しました。この成果は、英国の科学雑誌Nature Physicsに掲載されるのに先立ち、オンライン版に掲載されました。062016/03/15軸性脊椎骨幹端異形成症の原因遺伝子を発見―網膜色素変性症、骨系統疾患の発症を解明―理化学研究所統合生命医科学研究センター骨関節疾患研究チーム、横浜市立大学学術院医学群、本学大学院医学系研究科の西口康二准教授らの共同研究グループは、遺伝性の難病である軸性脊椎骨幹端異形成症の原因遺伝子「C21orf2」を発見。この遺伝子の機能喪失により、網膜視細胞や成長軟骨細胞の繊毛の機能不全が起こり、同疾患を発症するメカニズムを解明しました。これにより、軸性脊椎骨幹端異形成症の遺伝子診断、保因者診断が可能になりました。また、軸性脊椎骨幹端異形成症やそれに類する網膜の変性疾患、骨格異常症に対する有効な治療法の開発につながると期待できます。この成果は、米国のオンライン科学雑誌PLOS ONEに掲載されました。Award-Winning2016/02/1202/1502/2504/13栄誉の受賞トムソン・ロイターのHighly Cited Researchers 2015に生命科学研究科の山口信次郎教授、佐藤修正准教授が選出工学研究科ナノメカニクス専攻祖山均教授にASME Fellowの称号が授与海洋観測データを公開してきた理学研究科に海上保安庁長官表彰平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、本学から科学技術賞8件(9名)、若手科学者賞10名が受賞08|まなびの杜76号