ブックタイトルまなびの杜 2016年夏号 No.76

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概要

まなびの杜 2016年夏号 No.76

最新の研究ラインナップ032016/02/16反強磁性体の新しい物理と応用を開拓―スピン・軌道相互作用を用いた磁化の制御に成功―本学電気通信研究所の大野英男教授(同大学省エネルギー・スピントロニクス集積化システムセンター(以下、CSIS)・センター長、国際集積エレクトロニクス研究開発センター(以下、CIES)・教授、原子分子材料科学高等研究機構・主任研究者兼任)、CSISの深見俊輔准教授(CIES・准教授兼任)らは、反強磁性体に電流を流すとスピン(磁気)の流れが生じることを見出し、これによって隣接する強磁性体の磁化を反転させることに世界で初めて成功しました。今回の成果は、反強磁性体やスピン輸送現象の新しい物理学理論を切り拓き、超低消費電力集積回路の開発への応用などが期待されます。本研究成果は、英国科学誌Nature Materialsのオンライン速報版で公開されました。食べ物を「足」で味わう機構の解明042016/02/22―複数の甘味受容体神経の機能と構造―本学大学院生命科学研究科の大学院生Vladimiros Thomaと谷本拓教授らを中心とした研究グループは、ショウジョウバエの「足」にある味覚神経細胞が、食物を探し出すために必須であることを明らかにしました。さらに、これらは2つに分類でき、食物の上で歩みを止める(「食卓につく」)ためのものと、食物の摂取をうながす(「食事を始める」)ためのものがあることを発見しました。昆虫は、口だけでなく肢(あし)や食道、さらには翅(はね)など、体のさまざまな部分で味を感じることができるだけに、この研究は、生物の異なる味覚センサーの機能多様性を研究する上で、極めて優れたモデル系を提供します。本成果は、Nature Communications誌(電子版)に掲載されました。072016/04/15世界初、二酸化炭素とジオールからの直接ポリカーボネート合成法の開発に成功本学大学院工学研究科の冨重圭一教授、田村正純助、東京理科大学工学部工業化学科の杉本裕教授の研究グループは、二酸化炭素とジオール(2個の水酸基が2個の異なる炭素に結合している脂肪族、脂環式化合物)を触媒的に直接重合させる方法を世界で初めて開発しました。ジオールを原料とした従来のポリカーボネート直接合成は有毒な試薬を用いた方法のみでしたが、本研究では、無害な二酸化炭素とジオールから一段で合成可能であることを世界に先駆けて示しました。二酸化炭素とジオールとの反応で合成が実現されれば、大幅な二酸化炭素の削減につながるプロセスの構築が期待されます。この成果は学術雑誌Scientific Reports電子版に掲載されました。トポロジカル物質「ワイル半金属」を発見082016/04/26―超高速・低消費電力な次世代デバイスの開発―本学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の相馬清吾准教授、高橋隆教授、同理学研究科の佐藤宇史准教授、大阪大学産業科学研究所の小口多美夫教授、ケルン大学(ドイツ)の安藤陽一教授らの研究グループは、新型トポロジカル物質(内部は絶縁体でありながら、表面は電気を通す物質)である「ワイル半金属」(3次元空間での質量ゼロの粒子「ワイル粒子」を内包した新しい物質)の発見に成功しました。今回の成果により、超高速でかつ消費電力を低く抑えた次世代デバイスの開発が大きく進展するものと期待されます。この研究成果は、米国物理学会誌Physical Review Bの「注目論文」に選ばれ、2016年4月20日(米国東部時間)にオンライン速報版に掲載されました。04/2505/022015年度日本機械学会賞受賞(論文)を工学研究科の燈明泰成准教授と藤森將太、日本機械学会奨励賞(研究)を流体科学研究所・落合直哉助教が受賞平成28年春の叙勲〇瑞宝中綬章/名誉教授の南部健一、岩泉正基、奥田禮一、山之内和彦、髙木相、本間基文〇瑞宝単光章/石井幹子(敬称略)まなびの杜76号|07